プロフィール

池田 剛介(いけだ・こうすけ)
1980年生まれ。美術作家。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程修了。
自然現象、生態系、エネルギーへの関心をめぐりながら制作活動を行う。近年の展示に「Malformed Objects-無数の異なる身体のためのブリコラージュ」(山本現代、2017)、「Regeneration Movement」(国立台湾美術館、2016)、「あいちトリエンナーレ2013」など。近年の論考に「虚構としてのフォームへ」(『早稲田文学』 2017年初夏号)、「干渉性の美学へむけて」(『現代思想』2014年1月号)など。

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はじめに

2018年01月21日

こちらでブログを始めることになりました。

僕が初めてREALKYOTOに寄せたテキストは、2014年の台湾での大きな学生運動「ひまわり学運」で起きた立法院の占拠についてのレポートでした。

占拠時の立法院の内部。photo: 筆者



その後、2014年にニコラ・ブリオーがディレクターを務めた台北ビエンナーレについてや、2015年の台南での滞在制作の報告、昨年行われたドイツ・カッセルでのドクメンタ14のレビューなどを寄稿しています。考えてみれば京都の外のことばかり。2017年からは「芸術論の新たな転回」と題したインタビューシリーズを担当していますが、これも京都はあまり関係ありません。

京都をその名に冠した媒体にありながら、どうもそこから外れている。

そろそろ反省して京都のことを、という話になりそうなものですが、あまりそういった指針はありません。というかさしたる方針もなく、見た作品や読んだ本、そのほか関心のある物事について不定期にポストしていく予定なので、ぜひたまに覗いてみてください。

そう京都でいえば、冒頭に挙げた台湾での立法院占拠の経験を念頭に、2016年には京都芸術センターで「モノの占拠」と題したワークショップを行いました。日ごろ使われていないセンター内の備品などを参加者と一緒に集め、センターの一角にバリケードを仮構する、といったものです。60年代の学生運動でも行われた「バリ封」ですが、このプロジェクトは今年もいくつかの場所で展開する予定となっています。

占拠する空間を傷つけないように養生していきます。モノも破壊しないことがルール。21世紀のバリ封はテイネイに遂行されます。photo: 守屋友樹



モノたちが積み上がっていきます。photo: 守谷友樹



通路の二箇所を半分づつ塞ぐようにしてバリ封が完成。24日間(台湾での立法院占拠が行われた日数)の設置後に解体。photo: 守谷友樹



何かの巡り合わせでしょうか、今年はこうした社会運動が世界的な盛り上がりを見せた1968年から50年目。そういえば京大では吉田寮からの退去通知や、立て看板に対する景観保護の観点からの行政指導の問題など、今後、様々な議論を呼びそうです。

こと立て看板、いわゆるタテカンに関しては、もはやこうした光景自体が絶滅危惧の希少価値を持っており、いわば反転したインスタスポットとして、京都が力を入れる「観光」に役立てるべきではないでしょうか。たかだか数十年来のもので伝統的な景観とは言えないという意見もあるでしょうけれど、それを言うなら平安神宮や琵琶湖疎水――これに付随する哲学の道や小川治兵衛の庭などもたかだか100数十年来の近代化以降のものでしかない、ということにもなるわけですし……

などと書いていてふと気づきましたが、これだけ聞くと実に「政治的」な人物かと思われるかもしれません。が、シンプルな意味で「政治」に積極的にコミットしている人間とは到底言えないでしょう。

狭義の「政治」が、おおよそ人間のあいだの利害関係や権利要求に関わるものであるとすれば、僕の関心は、そうした人間的な世界や秩序からは離脱した存在の方にあり、そのような意味での非-人間的なモノ――そこには自然物や自然現象なども含まれる――とわたしたちとの関わりを巡っていると言えます。

だからバリ封といっても特に具体的な政治的主張があるわけではなく、かといってもちろん冗談やネタとしてやっているわけでもない。必ずしも「真面目」ではないけれど、かといって不真面目にやるわけもなく、そう、あえていえば子供の砂場遊びのような真剣さで目の前のモノと関わり、その素材の有限性のただなかで何事かが立ち上がる、そうした出来事に関心があると言えそうです。こうした関心について、それをもう一度、別の意味での「政治」と関連づけることもできると思いますが、そういった話はまた別の機会に……

といったような僕の関心や活動をめぐるメモも、覚え書きとしてここで残しておければと思います。

どうぞよろしくお願いします。