art trip vol.02 

この世界の在り方 思考/芸術


人は思考によって行動する動物であるのは言うまでもなく、思考することは呼吸するのと同じく、私たちに必須の自然な機能である。「この世界の在り方 思考/芸術」と銘打ったこの展覧会では、4作家の現代美術作品とともに各々が選定した美術作品や歴史・考古資料の収蔵品が併せて展示されている。河口龍夫は貝殻、種子、蓮など、自然界の物質を使った造形によるインスタレーションで、誕生と死が連なる壮大な時間を想起させる。小沢裕子は映像や音や文字のズレから自身に揺さぶりをかけ、意識の可能性を広げる。伊藤存はアニメーション、刺繍、粘土の作品を通じ、「描くこと」つまり「(数学者・岡潔を引用し)立ち上がること」がおどろきに包まれた動作であることを想像させてくれる。前谷康太朗は暗闇を追求した室内でアウトフォーカスな炎の映像を表出し、よく見えるほど失われていく本質や映像言語の最小単位について考えさせる。作者と観者と芸術の関係は興味深い。それは思考を通じて連鎖し、決して終わることのない再創造を展開してゆく。だから、やはり観者として美術館に出掛けてほしい。それはおそらく人間の頭脳の最も複雑な能力によって、ものごとの意味が生じてくる場になるからである。

(かなもりゆうこ ★★★★★)

 


この世界の在り方 思考/芸術

 

12月10日(土)-2017年2月12日(日)まで「art trip vol.02 この世界の在り方 思考/芸術」展を開催いたします。

本展では、立体、平面、映像の現代美術の作品と併せ、当館コレクションの近現代美術作品や考古・歴史資料を展示し、「思考」について考えていきます。

見えるものと見えないものの関係性をテーマに1960年代から国内外で活躍する河口龍夫、刺繍作品や彫刻、アニメーションなどの手法で日常の断片を紡ぎ出す伊藤存、映像や文字や音のズレから意識の焦点を揺り動かす小沢裕子、自然光や電灯などあらゆる光を収集し、それらを構成要素とする映像作品を発表する前谷康太郎。

参考図版:河口龍夫 《関係-浮遊する蓮の船》(部分)2007年 鉛、蓮、種子(蓮) 作家蔵撮影:齋藤さだむ



現実は、見えているものだけが全てではなく、見えていない世界も確かに存在しているという事実。一つの視点で物事をとらえる危うさは大きく、この世界が向き合っている真実を見据え、見えない部分を想像し、多様な視点で認識するための力の重要性はますます高まりつつあるでしょう。

参考図版:伊藤存 《むかしからこれまで》より2015年 映像インスタレーション 作家蔵撮影:表恒匡



彼らが生み出す作品は、見える事実とその向こう側にある真実を気付かせてくれ、この世界のとらえ方を再考する手がかりを提示してくれると考えます。
本展が、自らの考えや思いを導き出す「思考」を深める場として、存在したいと願っています。

▼会期中はアーティストトークやライブパフォーマンスなど、関連イベントも開催予定。
 
 

オープニングイベント アーティストによるギャラリートーク
日時:12月10日(土)14:00-16:00
講師:河口龍夫、伊藤存、小沢裕子、前谷康太郎(本展出品作家)
会場:展示室
参加費:無料(ただし要観覧券)

ライブパフォーマンス
日時:1月9日(月・祝) 16:00-17:00(予定)
出演:山/抽象版×小沢裕子(美術家)
会場:展示室、講義室、前庭(予定)
定員:80名
参加費:無料(ただし要観覧券)

*「山/抽象版」:
「山/完全版」の別バージョン。2013 年デビューのライブパフォーマンスユニット。伊藤存がメンバーのひとりとして活動するバンド。ゆるい散歩を裏側から眺めるような、ずれた風景を描く音律とリズム、ありそうでないような文脈と派生の可能性。逆立ちしながら穴を掘る。ご近所さんの音楽の集いに迷い込む路地奥からのストレンジャー。

対談「河口龍夫/思考と芸術をめぐって」
日時:1月28日(土)14:00-15:30
講師:河口龍夫(美術家)×柳原正樹(京都国立近代美術館長)
会場:講義室
定員:60名(どなたでも)
参加費:無料(ただし要観覧券)

上映会/前谷康太郎作品
日時:2月4日(土)15:00-16:00
講師:前谷康太郎(映像作家)
会場:講義室
定員:60名(どなたでも)
参加費:無料(ただし要観覧券)

ギャラリー・トーク 両日とも14:00- 1時間程度
日時:12月24日(土)、1月21日(土)
参加費:無料(ただし要観覧券)
※全て申し込み不要。直接会場へお越しください。

 
(詳細はこちら 芦屋市立美術博物館

 

会場付加情報
住所
兵庫県芦屋市伊勢町12-25
アクセス
徒歩/阪神線「芦屋」駅より南東へ約15分
バス/●阪神電車芦屋駅南側 市役所西側2番のりば
    26,29,31,32,36,131系統
   ●JR芦屋駅北側5番のりば
    29,31,32,36,131系統
   ●阪急電鉄芦屋川駅南側5番のりば
    31,32,36,131系統
   「緑町(美術博物館前)」停留所下車

※併設駐車場は1時間無料
(8:00〜20:00)30分100円、( 20:00〜8:00)60分100円
電話番号
0797-38-5432
日程
2016年12月10日(土)-2017年2月12日(日)
時間
10:00-17:00
休日
月曜日(但し、1/9は開館、1/10は休館)、年末年始(12/28-1/4))
料金
【特別展】一般600円、大高生500円、中学生以下無料
特記事項