共犯者たち


テレビニュースの取材クルーが、「大物」を追う。質問するが、エレベーターの扉が閉まる。そんな場面、何度も見たことがある。もう見飽きてるくらいだ。このドキュメンタリー映画は、ちがう。エレベーターの中に「一緒に入り込んでしまう」。そこがおもしろい。韓国政権2代にわたって続いた、テレビ報道への露骨な介入(ほとんど日本では報道されなかった)。テレビ局を、政権が「占拠」する。そんなことが、今の時代に起こっていたなんてびっくりぎょうてんだが、よく考えたら他人事じゃあない。取材で「大物」を追ったってどうせ何もしゃべらない。しかしあきらめムードはこの映画には一切ない。取材クルーは、全然遠慮しないのだ。テレビが誰のものか知っているから。
政権によるスパイ捏造事件を追った同時公開『スパイネーション/自白』も、やはりカメラはエレベーターの中に入り込む。こちらも傑作。どっちの映画のエンドクレジットロールにも驚く。

福永信

 


共犯者たち

(C)KCIJ Newstapa


 

記者が黙った 国が壊れた…主犯は大統領、共犯者は権力におもねる放送人
李明博と朴槿恵 長期保守政権による言論弾圧の実態

2008年、〈米国産牛肉BSE 問題〉などの報道により国民の支持を失いかけた李明博政権は、メディアへの露骨な政治介入を始める。狙われたのは公共放送局KBS と公営放送局MBC。政権に批判的な経営陣が排除され、調査報道チームは解散、記者たちは非制作部門へと追われた。両局の労働組合はストライキで対抗するが、政権が送り込んだ新しい経営陣は解雇や懲戒を濫発。その結果、政府発表を報じるだけの「広報機関」となった放送局は、〈セウォル号惨事〉で「全員救助」の大誤報を流し、〈崔順実(チェ・スンシル)ゲート事件〉の隠蔽に加担することになった……。

メディアの存在意義をかけたジャーナリストたちの闘い
しかし、それでも諦めないジャーナリストたちがいた。局内に残った記者たちは、さらに激しいストライキに突入。いっぽう、不当解雇されたチェ・スンホ監督たちは、市民の支援で立ち上げた独立メディア「ニュース打破」で、調査報道を継続。言論弾圧の「主犯」である大統領と、権力に迎合して韓国の報道を骨抜きにした放送業界内の「共犯者たち」をカメラの前に立たせ、その実態と構造とを明らかにしていく。2017 年8 月公開された本作は、韓国で26 万人動員というドキュメンタリーとして異例の大反響を呼んだ。そして、奇跡の大逆転劇が起きる――。

 
監督:チェ・スンホ
製作:ニュース打破(韓国探査ジャーナリズムセンター)
2017年/韓国/105分

 
(詳細はこちら 公式サイト

 
〈劇場情報〉
京都シネマ(終了)
第七藝術劇場 201812/8(土)より公開中(12/31~1/1 年末年始休業)
元町映画館 近日

会場付加情報
住所
大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6F
アクセス
阪急「十三駅」より徒歩5分
電話番号
06-6302-2073
日程
時間
上映により異なる
休日
料金
一般1800円、大学生1500円
特記事項