作・舞踏/由良部正美 ワキ/稲垣三輪子
2016年7月、おそらく日本国内初となる舞踏の専用劇場「KYOTO舞踏館」が、京都・三条にオープンしました。
舞台となる会場は、江戸時代後期に建造され、蛤御門の変の災禍をかいくぐったという歴史的にも貴重な逸話を持つ土蔵。滋慶学園グループ総長・浮舟邦彦氏の協力を得てこの場所での企画が実現した。1公演8 席限定という濃密な空間で三味線の美しい音色とともに体感する舞踏の世界に、多くの人が心揺さぶられることは間違いないだろう。
【作品解説】
私達は、太古から花に魅せられてきました。
祭礼や葬送、式典等、思いの深い場には常に花が添えられてきました。
その儚く散っていく命、つかの間の開花、つまりは儚い美の中に、私たちは時間を超えた世界を感じてきたのでしょう。
この時間を超えた世界を、日本では黄泉(よみ)という言葉で表してきました。
それは、黄泉がえり(甦り)の場でもあります。
死者も住むという黄泉の国は、どこか隔絶した世界にあるのではなく、最も身近にあります。
例えば、眠りの内に、また、言葉の奥に。
私達は、毎夜毎夜、眠りの中で黄泉の国に生き、そして、そこから新たな息吹と共に、帰ってきます。
私達のカラダとは、皮膚の中に孤立した島のようなものではなく、時間も超えた大海原と共にあるものではないでしょうか。
黄泉の息吹が咲かせる花なのではないでしょうか。
舞踏とは、このことの表現だと私は思っています。
カラダで何かを表現することではなく、このカラダ自身が、途方もなく奇跡の花なのだと感じていくことなのです。
観ているあなた自身のカラダとともに。
2017年春
由良部正美
【公演概要】
〈公演日程〉
毎週火曜日開催
※2017年3月・4月のみ第二・第四火曜日開催
〈開演時刻〉
18:00-/20:00-(上演時間 約45分・1日2回公演)
※それぞれ公演時間の20分前より受付開始・開場
〈料金〉
一般 3,000円 /学生 2,500円
※未就学児入場不可
〈客席数〉
各公演 限定8席
※座席は指定席ではありません。
〈アクセス〉
〒604-8202 京都市中京区三条通室町西入衣棚町51-2
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【出演】
由良部正美
プロフィール:
1982年、舞踏グループ東方夜総会を退会後、ソロダンサー、振付家・演出家として活動を始める。
たくさんの舞踏作品、コラボレーション活動を発表。
2000年。ヨーロッパ最大ともいわれるリヨン・ビエンナーレ・ダンスフェスティバルのオープニングに招待されたのをはじめ、メルボルン・ダンスフェスティバル(2002年)、韓国のテジュンとテグでのダンスフェスティバル(2005年)、ポルトガルのSUL-Xダンスフェスティバル(2006年)等海外での招待公演も数多い。又、舞踏の黎明期を築いてきた笠井叡氏、大野慶人氏、詩人の河村悟氏を2005年、2006年と招き、「身体の裏側Ⅰ」「身体の裏側Ⅱ」を企画。古典の新芽シリーズでの文楽・義太夫との共演等、その活動は幅広い。又、長年舞踏クラスや、ワークショップを行いながら、他の身体技法との相対化の中で、新たな舞踏の血脈を探っている。2008年、京都西陣にて、自身の稽古場兼、フリースペースALS-Dをオープンし、日々のクラスの他、様々なダンスセッションなどを行っている。
2015年、2016年と、「舞踏という問い」という企画に参加し、舞台、ワークショップ等を通して、現代の舞踏の意味についてより若い世代と共に探る活動を継続中。
稲垣三輪子
プロフィール:
2013年より、由良部正美の下で学び、多くのダンスセッションに参加している。